同調圧力とは何か|アッシュの実験から考える集団の中で判断が揺らぐ理由
※この記事は、心理学の専門家ではない裏方が、
ある出来事をきっかけに心理学の入門書や一般向けの書籍を読み、
「こういう説明がされているのか」と理解した内容をまとめたものです。
学術的に厳密な解説ではありませんが、
日常の出来事を考える一つの視点として読んでいただければ幸いです。
■ この記事の元になった動画について
今回取り上げている出来事は、
でべそさん(以下Dさん)がスタジオ清掃のアルバイトをしている時に
体験として動画で公開していた内容を元にしています。
動画では、当時の状況や感情も含めて語られています。
元の話を知りたい方は、以下の動画をご覧ください。
スタジオ清掃の現場で起きた出来事
朝6時。
スタジオ清掃のアルバイトをしているDさんは、次の作業に入ろうとしていました。
そのスタジオは「6時まで使用」と聞いていた場所です。
ところが6時を過ぎても、スタジオの中ではまだ活動が続いていました。
Dさんは参加者の一人に声をかけます。
「6時までと聞いているのですが……」
すると返ってきたのは、
「7時までじゃないですか?」
そのやり取りを聞いていた他の参加者たちも、次々と同じような反応を示しました。
「7時だったと思います」
「私もそう聞いています」
結果として、Dさんは複数人に囲まれる形になります。
そしてDさんは、
「もしかして、自分の認識が間違っているのかもしれない」
と感じたそうです。
なぜ人は集団の中で自分の判断を疑うのか
この話を聞いたとき、私は最初、
「そんなに簡単に自信は揺らぐものだろうか」と思いました。
そこで心理学の本をいくつか読んでみると、
人が集団の中で判断を変えてしまう現象は、
昔から研究されてきたテーマだと知りました。
同調圧力という考え方
多くの本で紹介されていたのが、同調圧力という言葉です。
同調圧力とは、
周囲と異なる意見を持つことで不安を感じ、
無意識のうちに周囲に合わせようとする心理
を指すそうです。
Dさんの状況は、
- 一人で
- 複数人に囲まれ
- その場で判断を求められる
という条件がそろっていました。
本によると、このような場面では、
内容の正しさよりも「孤立しないこと」が優先されやすいとされています。
アッシュの実験が示した「集団の力」
同調圧力を説明する有名な研究として、
多くの本で紹介されていたのがアッシュの実験です。
アッシュの実験とはどんな実験か
この実験は、1950年代に心理学者ソロモン・アッシュによって行われました。
実験の内容は、驚くほど単純です。
被験者は、数人の参加者と一緒に部屋に入ります。
ただし、その中で本当の被験者は1人だけで、
残りの人たちはあらかじめ指示を受けた「サクラ」です。
参加者には、次のような課題が出されます。
1本の線が描かれたカードと、
長さの違う3本の線が描かれたカードを見せられ、
「どの線が同じ長さか」を答える
答えは一目で分かるほど簡単な問題でした。
ところが、サクラ役の人たちは、
全員がわざと間違った答えを口にします。
そのあとで、本当の被験者に順番が回ってきます。
実験の結果
結果は、多くの本で次のように紹介されています。
答えが明らかに分かっていても、
周囲全員が同じ間違いを言うと、
それに合わせて誤った答えを言う人が一定数いた
被験者の多くは、
「正しいと思っていたが、自分が間違っている気がした」
「場の空気に逆らうのが不安だった」
と後から語ったそうです。
この実験は、
人は事実が分かっていても、集団の中では判断を曲げてしまうことがある
という点を示したものとして紹介されています。
Dさんのケースをアッシュの実験から見ると
Dさんの状況は、アッシュの実験とよく似ています。
- 自分では「6時まで」と認識していた
- 周囲の全員が「7時まで」と言った
- その場で一人だけ違う意見になった
本を読んで感じたのは、
Dさんが自分の考えを疑ったのは、
判断力が弱かったからではないということです。
アッシュの実験が示すように、
それは多くの人に共通する心理的な反応でした。
もし同じ状況に出くわしたら
Dさんの立場だった場合
本を読んで、「これは使えそうだ」と感じたのは、
- 囲まれて迷うのは自然な反応だと知っておくこと
- その場で結論を出そうとしないこと
- 人ではなく、ルールや管理者に判断を戻すこと
たとえば、
「私が聞いている内容と違うので、一度上に確認しますね」
と伝えるだけでも、心理的な負担はかなり下がるように思います。
Dさんが一度上に確認する判断は適切だったという事になります。
参加者の立場だった場合
一方で参加者側に立つときは、
- 人数が多いだけで相手に圧を与える可能性があること
- 「みんな同じ意見」でも確認が必要な場面があること
を意識するだけで、状況は変わるかもしれません。
「念のため確認してみましょうか」
この一言があるだけで、
誰かが一人で悩まずに済む場合もあります。
まとめ
今回の出来事を心理学の本を通して見てみて、
私が一番印象に残ったのは、
人は、集団の中では思っている以上に
周囲の影響を受けて判断している
という点でした。
誰かを責める話ではなく、
誰にでも起こりうる心の動きとして捉えると、
同じような場面に出会ったとき、少し落ち着いて対応できる気がします。
この記事が、
集団の中で迷ったときに、
「こういう心理もあるらしい」と立ち止まるきっかけになれば幸いです。

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