2026年6月21日日曜日

バタバタ走れよ、バタコさん

 普段オフィスビルの清掃のバイトをしている
その担当しているオフィスの女性会社員の中で
心の中で「バタコさん」と呼んでいる人がいる
そのオフィスでの清掃は始業する1時間以上前に出社して清掃するので
会社員の皆さんはほとんどいない状態なのだが
バタコさんはかなりの確率で自分と同じぐらいのタイミングで出社して
始業に向けての作業をされている
そしてそのビルは5階建てで、各階で部署が違うのだが
バタコさんは3階の部署で働いている
でも時折2階の部署に赴いて資料などの受け渡しをしたりしている
そしてバタコさんの名前の由来なのだが
そのビルはエレベーターがあるにもかかわらず
階段を利用して行き来しており
その時の足音がめちゃくちゃでかい
文字通り「バタバタ走るよ」なのだ。だからバタコさんなのだ
もう他の階にいても聞こえるくらいすごい勢いで
バタバタ階段を上り下りしているのだ
だから付近の階段の掃除機がけなどしてるときに
バタバタ音がするとこっちに来るんじゃないかと思ってビビるのだ

そんなバタコさんが、ここ2週間近く出社されなかった
最初は旅行とかで長期休暇かと思った
けど数日経つたびに何か事情が違うように感じた
てことは辞めたのか?
でもそうしたらバタコさんの机が片付けられる筈
机はそのままなのでその線も薄い
ということは何かしらのケガを負ったのか?
日を重ねるごとになんとなく不穏な空気を勝手に感じた
そして2週間経ったある日、
再び始業1時間前に姿を現した
特に「お久しぶりです」とかいう社交辞令もなく
「おはようございます」といつもの挨拶を交わした
会社員と清掃員の関係性なんて所詮そんなものだ
…すみません、単純に自分が人見知りなだけかもです

ただ再び現れたバタコさんは
以前のようなドタバタ音を出さなくなった
明らかに歩き方がおかしい
何かを庇うかのようにペンギンのような歩き方をしていた
のちにわかったが片足を骨折したらしい
経緯はわからない
それに足を引きずりながら歩く以外は以前と何ら変わらない
でもあんなにバタバタ言いながら
2階3階を往復していたバタコさんが
その1階差の移動もエレベーターを使うようになった
それまではバタバタ音にびっくりしてたのに
いざ聞こえなくなるとなんか寂しさを感じるから人間は不思議だ
まだそこまでご高齢ではないっぽいし
いつか治るとは思うし、治ったらまたびっくりするかもだけど
またバタバタ音が聞きたい今日このごろ
バタバタ走れよ、バタコさん

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